「未来世紀ブラジル」1985年 イギリス映画

この映画が作られたのは1985年
情報化社会という言葉が、氾濫し始めているものの
その実感はまだまだなかったその時代からみた、
近未来のある国
(個人のプライバシーはすべて政府のコンピューターに管理され、
情報省が大きな権限を持って人々を支配している。
一方で、反体制派はテロ行為に走り、
姿なきテロリストによる爆弾騒ぎは日常茶飯事である。)
でおこった悪夢をブラックユーモアたっぷりに描いている。
主人公サムの自由と恋は
情報省の一画で起きたちょとした事故、
ある役人が叩きつぶした、仕事場に迷い込んできたハエの死骸が
コンピューターの中に落ち、
打ち出していた「TUTTLE」の文字を「BUTTLE」
にミスプリントしてしまったこと、
が発端となり、
バックに流れる
ラテン・ミュージックの名曲「ブラジル」の
軽快で楽天的なリズムとは対照的な現実へと進行していく。
この映画が作られてから、20余年の歳月が過ぎた。
高度情報化社会が現実になった21世紀、
はたして、
ここに描かれている恐怖は、
過去に空想された世界の中だけのものなのか。
それとも、すぐ隣にある恐怖なのか。
笑いながらも背筋が寒くなる一編です。